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石谷もちや 石谷様
富山市の商店街で、明治から続く餅店「石谷もちや」を営んでいます。私で4代目、店舗では団子をメインに大福や赤飯などを置いています。
うちの制服はもともと、しっかりと決まったものがあったと言うわけでもないのですが、店舗のスタッフは私服にエプロンと三角巾。製造部は先代から引き継いだ白衣を長年着てきました。
「このままでいいのかな?」という、少しモヤっとした気持ちはずっと持っていたんです。昔から続けてきたことは大切にしつつも、新しいことにも少しずつチャレンジしなくてはいけない時代なのかなという意味でも。ただその新しいことというのは、味なのか店の改装なのか、何なのか。具体的に何をしたらいいのかまでは、まったく分からない状態でした。
ある日デザイナーのパドルアンドチャート大谷さんが店を訪ねてきてくれたので、いい機会だと思い私の思いを少しお話しさせていただいたんです。そしたら大谷さんは「制服って、一番変化が分かりやすいかもしれません。お店を見直す良いきっかけにもなりますよ」とおっしゃって。
その言葉を聞いて、思い切って制服を変えてみようかなと思い始めたんです。その後、大谷さんからチームワークアパレルさんのカタログを見せていただいたのですが、正直、何をどう選べばいいのかがまったくわからなかったんです……。
お店に立つスタッフがお客さんにどう見られているか、そのときに初めて考えたのかもしれません。「どんな制服にしたいですか」と聞かれたので、「お客さんから見て清潔感があり、きちんとして見えるものがいい」ということをお伝えしました。大谷さんはカタログの中からトップスやエプロン、三角巾などいくつかのパターンを選んでくださいました。
「じゃあロゴマークを制服に落とし込んでみましょう」と大谷さん。合成でロゴマークをカタログから選んだ制服に当てはめてもらったのですが、これが何か違うんですよ(笑)。上手く言えないんですが、気持ちがしっくりこなかったというか。
うちの旧ロゴマークは、看板、包装紙などに使われていたのですが、2つ3つほどマークが描いてあり、どれがロゴマークかと言われると分からなかったんですよね(笑)。ロゴマークとしてしっかり決まったものが、実はこれまでなかったんです。
ロゴマークに込められた思いというのももちろん分からなかったので「本当にこのまま使っていいの?」と、違和感を持ちました。私の気持ちとしては、老舗感は出していたい、でも見栄えも良くしたい。大谷さんは「では、ロゴを見直しましょう」と提案してくださいました。
老舗店のロゴや後発系のロゴなど、日本中のロゴを集めて傾向を分析していきました。そして、旧ロゴマークを一つにまとめるべく、必要なパーツだけを残していくという作業に取り掛かっていきました。真ん中に既存の店名を配置しながら、枠で囲んで情報を整理していくというやり方です。
たくさん出していただいたパターンから、好みのものを選びました。四代目の自分から始まる新しいロゴの完成です。新しくなったロゴを見て、この先も先代の残していった味や技術を継承しながら、末長くやっていこうという決意が芽生えました。
「ロゴの入る制服にはお店のキーカラーを採用しましょう」と大谷さん。米菓、和菓子に共通する色、これだけは守っていきたいと思うものを色で現わす。なんとも難しい課題でした(笑)。
「できたて」「食べてほっこり」「温みのある」など、いくつかのキーワードを紡いでいきました。お店が明るくなる色で、餅にもマッチする色。そして包装紙や暖簾などに使ってもおかしくない色。若い販売員もいれば年配の販売員もいる。誰もが似合う色…。それらを突きつめていった結果、あんこの色“あずき色”に 辿りついたのです。
キーカラーの制服に、ロゴマークを入れる。そこで改めて制服のカタログに目を通しました。毎日着ることや洗濯のことも考えたうえで、和でもなく洋でもなく…と消去法に近い選び方で候補を選定。コックコートのトップスをメインに、同系色でまとめたエプロンと三角巾を採用しました。
工場で作業する製造部は、配達で外に行くことも多いので、襟付きできちっとして見えるようポロシャツを採用しました。ご近所さんにも「石谷さんのところは、ちゃんとしてるね」と見られたいですから(笑)。
あと冬の製造工場はとても寒いので、防寒着としても使えるものがいいと思い、撥水効果のあるナイロン素材のウインドブレイカ―を選びました。スタッフにお店の看板を背負っているということを意識してもらうため、背中には大きなロゴマークも入れました。ボトムはチノパンです。これまで何十年も白衣だったので、工場内が一気に楽しげな明るい雰囲気となりました。
新しい制服で店舗に立ったスタッフは、最近お客様に「品が良くなったね、いい雰囲気になったね」と声をかけられたそうです。私服から制服になったわけですから、スタッフは気持ちの切り替えがしやすくなったのではないでしょうか。
制服を変えたことで色やロゴの大事さが良く理解できました。これをきっかけに、キーカラーと新しいロゴを使って、暖簾や壁掛け、缶バッジなど様々なツールなども、統一感を意識して製作しました。その中でも、キーカラーで統一した暖簾と壁掛けは、品も良く店内も明るく見えてお客様にも好評です。
昔ながらの店ではありますが、販売店に大事な“ウェルカムな雰囲気づくり”を目指し、若い人たちから年配の方まで、お客様が来やすい店を目指していきたいと思っています。
制服づくりは今まで、あまりお金をかけずコストの事ばかりを意識していました。でも、ユニフォームへ投資したことによって見えてきた事が何よりも良かったです。自分とスタッフの意識の違いも実感しました。今後はもっとスタッフと対話し、「目指すお店の姿」を共有にしなければと思いました。そして今回、ユニフォームという入り口から「石谷もちや」の新たなる挑戦への一歩が踏み出せたように感じています。
関連ページ:和菓子屋『石谷餅屋』様の名入れポロシャツ製作事例
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